『Spring Snow』としてデビューした僕の幼なじみのゆうじと大野君はまだまだこれからだった。


着実にファンを増やし、人気が出て来た矢先のゆうじの休業宣言。


そして、戻ってくると信じてたファンを残してこの世を去った。


あまりに早い死を、誰もが受け入れられずにいた。


入院中、1番辛かったはずのゆうじは決して弱音を吐かず、辛い顔をしなかった。


人の悲しい顔を見る事がなによりも苦手だったゆうじ。

みんなを残して死んでしまったことは心残りだっただろう。



僕はゆうじとの思い出をいつも心の中で思い出しながら生きていた。


ゆうじの笑顔が色褪せないように、何度も何度も頭の中に焼き付けた。



「またしんみりしちゃって・・ゆうじ君に怒られるよ~!」

大好きなモンブランを頬張りながら、僕の手に触れるユキのぬくもりで僕は現実に戻る。


「そうだな。もうすぐ追悼ライブだしな。あいつも楽しみにしてるだろうな・・。」

「うん!!やっとライブ実現するんだもんね。」


夏に予定されていたゆうじの追悼ライブは、秋に延期になった。


ゆうじの残した曲は、あまりにも多かった。

ゆうじの書き残した歌詞は、想像以上の量と質だった。


大野君は必死で、ゆうじの想いを受け止めようと努力した。


でも、歌詞を読むと涙が止まらなくなり、練習ができなかったと大野君は話してくれた。

純粋で天使のような素敵な歌詞は、僕の手には負えない、と大野君は泣いた。