「間に合ってよかった」




『何が?』




「少し、座ろう」




『うん』






そうして私達は






五年前





唯一二人で過ごした場所へ座った





「ナオが覚えてたのは意外」




『覚えてるよ』





だって





レイと



二人でいた場所だよ




あの時の



レイの笑顔も




交した言葉も





全て







…とは言えないかもしれないけど






ほとんど覚えてる






違う





覚えてるんじゃない






忘れられないんだ