呼吸が荒い。

だが、さっきまで
僕を苦しめていた
頭痛も吐き気も、
嫌悪感も恐怖も、
無かったかの
ように消えている。

そして、驚くほどに
視界と頭の中が
クリアだ。

今のは何だったんだ?

まるで持ち主の元に
戻ってきたような感覚。

まさか、
僕自身の記憶なのか。

もう一度周りを見渡してみる。

やっぱりあの場所だ。

同じではなくて
似ているだけの場所。

僕の知らない場所。

“嘘だろ?”

嘘なんかじゃない。

僕はこんな場所知らない。

僕が知っているのは
玲たちと過ごした
あの街で、こんな場所を
知っているはずが・・・。