手が空を
握っていた。

握り拳が
出来ていた。

前を見る。

居ない。

私の幼馴染が。
好きな人が。
大切な人が。
居ない。

灰二が居ない。

「灰二?」

彼の名前を呼ぶ。

でも彼の声は
聞こえない。

何で。

「灰二!!」

何が起こった?

辺りを見渡す。

川原で遊ぶ子供。
散歩していた
近所の人はもう居ない。
見慣れた橋。

変わっていない。

そして
灰二の姿は見えない。