この時間の距離が
埋まるように。

そんな思いを込めて。

「待って灰二。
ちょっと速いよ。」

灰二は気持ち
後ろに居る
玲に振り返った。

「あ、ごめん。」

ぼーっとしていたらしい
灰二は、少し速度を
落としてくれた。

というか、私の
歩幅に合わせてくれて。

何を考えていたのかな。

もしかしたら
私と同じで思い出に
黄昏ていたのかな?

そうだとしたら
ちょっぴり
嬉しいんだけど。

「そんなに見られると
照れるんですけど。」

灰二が顔を前に
向けたまま
ボソッと呟いた。

顔が赤い。
それと少し
強張っている。

緊張しているのかな。