駄目だよ。私。
本当――
「ごめん。」
灰二は黙っている。
すると、また私の
頭の上に手を置いた。
今度は掴むのではなくて
優しく撫でた。
「むしろありがとうだよ。
いつも心配してくれて。」
まただ。あの顔だ。
私は灰二を傷つける。
大切にすればするほど。
こうしてまた
灰二を傷つけた。
じゃなきゃ私は知らない。
灰二のこの、笑顔の
意味を私は知らない。
「なぁ、久しぶりに
一緒に帰らん?」
灰二が何か言っている。
でも聞き逃してしまった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…