灰二の家には
お父さんがいない。

引っ越してきたのも
灰二の家族が
離婚したからだ。

それは小学校に入る前だから、
私たちが5歳くらいの
ときだった。

挨拶にきて
初めて会ったときも
灰二は笑っていた。

私から見ると、
やっぱり大変とか
可哀想ってものが
先行する。

でもそんなものは、
灰二にとっては
必要ないし、むしろ
邪魔かもしれない。

だって灰二は
自分のことを
可哀想とか不幸とか
思ったことが
一度もないから。

灰二に聞いた訳では
ないけれど、
見てて分かる。

灰二は自分と灰二の家族が
大切で、誇りを持っていて。

胸張って言える人だから。