「うん。ちょっと用あって。
一回、家によってから
合流するつもり。灰二は?」
「俺は今日ちょっとパス。」
これからいつものメンバーで
騒ぐ予定なんだけれど、
お母さんから電話があったので、
家に戻らなくてはいけなくなった。
灰二はまた何かあったのだろうか。
「灰二。」
一歩前に出ていた灰二は
スニーカーを持ったまま
振り返った。
何?といった顔をしている。
「また、何かあったの?
おばさん大丈夫?」
灰二は初めて見るような、
とても優しそうな顔をして
近づいてきた。
でも、知っている。
私はこの灰二の顔を知っている。
何処で見たんだろう。
思い出せないや。