「行くぞ」

「おう」

 すげー面倒だったけど。しんどかったけど楽しかった……ライカは少年を見下ろして今までの事を振り返った。

「ケビン。親父さんを大事にするんだぞ」

「うん」

 車に乗り込もうとしたライカを少年は呼び止める。

「ライカ!」

「!」

 振り返ると少年が勢いよく抱きついてきた。

「ありがとう」

 少し涙を溜めた瞳がライカを見上げ、ぐっとこらえて視線を移す。

「ベリルも」

 彼は軽く手を挙げて応えた。

「!」

 遠くからサイレンの音が微かに聞こえて車に乗り込み、ゆっくりと発進する。