「……あの夜も……今夜のように、月が美しくて……」

一の君の吹く笛の音色が、一の姫の爪弾く琴の音に、絡み、とけあって、交わっていく、あの、美しい旋律――……、

「けれど、私があの夜見惚れていましたのは、月などよりも、むしろ――」

一の姫が、うっとりとおっしゃいます。