明らかな挑発。

既にこの島から脱出する事も、生き延びる事も頭にないシバタにとって、これは私達をこの島に足止めする為の挑発に過ぎなかった。

しかし。

「レイ!?」

彼はレッグバッグのホルスターに拳銃をおさめ、シバタの前へと姿を見せる。

「その勝負受けてやる。但し、死ぬのはお前一人だがな」

「ほざくな」

レイとシバタ、両者は素手のまま身構える。

銃火器や近代兵器のプロフェッショナルである二人が、最も原始的な殴り合いという手段で決着をつけようとしていた。