――どのくらいたったろう……
私は全身を襲う激しい痛みに意識を引き戻された。
何かが燃えてるのだろう、焦げ臭い匂いが鼻をつく。
うっすらと開けた目にうつったのは、崩れおちた壁、もはや原型をとどめていないテーブル。
そして、たちこめる煙の向こうには……
「母さん!! レン!!」
崩れた壁と折れた支柱の下に重なるようにして下敷きになっている二人の姿を見つけ、私はそばへ行こうとして気が付いた。
右腕の感覚が、ない――
立ち上がろうとして無意識に床につこうとした利き腕は動かず、かわりに動かそうとした左肩を激痛が走る。
何かの破片で切ったのだろう、左肩は赤く染められ、それにより変色した破れた布地から、錆びた鉄のような匂いが鼻先を掠めた。
それでも痛みがあるとはいえ、こちらはまだ動かせる。