息を呑み、次々と砲弾を落とされ燃えあがる建物や木立を、ただただ信じられない思いで見つめる。

 どうする。

 どうすればいい。

 どうやってあれは国境の防衛線を越えて来たのか。

 何故、こんな小さな町を標的に選んだのか。

 怯えと疑問が生み出す混乱のなか必死で思考をめぐらす間にも、黒いその機体は見る見る近づいてくる。

「ルーシー!! 窓から離れ……」

 母の声とほぼ同時だった。






 激しい閃光と、耳をつんざく轟音。






 視界を焼かれ、聴覚を引き裂かれ。






 そして私の意識は闇へ落ちた……