暖かな空気によって完璧に象られようとしていた、ささやかながらも幸せな空間を打ち崩すかのように、突如、窓の外から轟音が鳴り響いた。

 遠く唸りを上げていた雷鳴が落ちるのに予告も何もないように、それもまた、突然に空気を震わせ、確かな振動を足元から腹の奥底まで一瞬にして伝わらせる。

「まさか……攻撃!?」

 私は椅子を蹴ってテーブルから離れると、窓の方へ駆け寄った。

 そこから見えた光景に思わず息を呑む。

 視界から得た情報が思考に落とすのは絶望の影。

「……うそ……」

 暗い夜空に、黒い機体が何機も飛んでいる。

「こんなところまで……!?」

 首都に近いこの町は国境からは遠い。

 戦争中だということは重々理解していたが、まさか自分の住む町がこんな突然に攻撃を受けるなど思いもよらない事態だった。