こんにちは、バカップルです。

その日に食ったカヨ姉のメシは超うまくて言うことなし。



風呂が共同だったけど源泉を引いてるらしく、すっげぇ肌に良さそうだった。



そして談話室に集まった先輩とかタメのヤツとか。



「初めて有名人見た…」

「俺を日本で見れんのなんて今のうちだけどな!!」

「世界目指しちゃう?」

「もちろん!!俺は新しい伝説を作るんだ」



キラキラした目になんだか少し励まされた。



そして知ったのが、ここに飛ばされて来たヤツらが大半で、この島が地元ってヤツが少ないこと。



みんな地方から親の怒りを買ったり、または捨てられるようにここに来たヤツらばっか。



すごい仲イイヤツらなんだ。



「合コンとかねぇの?」

「それは野上先輩に頼め」

「野上?」

「百合女に彼女いっから」



マジですか。



カモン野上っ!!



と、思ったら、俺の部屋の隣が野上先輩の部屋だった。



挨拶しとくかな…。



コンコンッとノックをすると聞こえて来た声。



ガチャッと開けた瞬間異臭がした…。



汚部屋っ!!



「あっ!!噂のツカサ!!」

「どーも、隣なんで挨拶に来ました」

「気、使うなよ。仲良くやろうやブラザー」



いや、ブラザーにはなりたくない。



野上先輩は茶髪でピアスの穴がいっぱい開いてた。



まぁ一般的に言うイケメンだろう。



「カヨ姉にシバかれたから部屋片付けんだ」

「あっ、あれは野上先輩だったんスか…」

「超怖いよな~、カヨ姉って」

「ですね…」



そして机に飾ってあったコルクボード。



おぉ!!



彼女カワイイ…。



「彼女さん美人スね」

「だろ!?俺の自慢なの。百合女の中ではまだおとなしい方だしな」



えっ、百合女ってヤンキー校なの?



それなら俺は遠慮するけど…。



「親いないヤツらばっかりだからな、百合女は」

「えっ?」

「孤児院があんだよ、すっげぇデカイヤツ。そこで育ったヤツらが百合女に進む。俺もそこで育った一人だけど」



意外だった…。



百合女はそういう女を受け入れるために作られた学校らしい。



なんか…切ないっス!!



「あっ、これヤバクね?」

「ぎゃあっ!!な、なんスかソレ!?」

「賞味期限…3ヵ月前のパン」



やっぱり合コンしなくていいや。



野上先輩の部屋にもういたくない…。



早急に自分の部屋に戻ってベッドに入った。



「司、下着と言えば水色だよな?」

「いや、赤か紫」

「熟女好きか」

「なんでそうなんだよ…」

「俺のイメージだ。寝る」

「うん、おやすみ奏介…」



今頃まだモデル仲間は仕事してんのかな…。



早く戻りてぇ…。



いい子にして早く迎えに来てもらうのも悪くないかもな…。



でも…やっぱり女は必要だと思う。



どんだけ耐えられんだろ…。



「ミサキ~!!」

「は!?なに!?」

「あっ、寝言だ。寝る」



これが毎日悩まされる奏介の寝言、第一声だった。



早く帰りたいっス!!



【芯】



毎日ムカつく朝から始まる。



目が覚めるとあたしのベッドに山盛りのティッシュがあった。



犯人は念入りに化粧中の同室のバカ女。



「これでお前の化粧落としてやろうか」

「は!?なに言ってんの?あんたが寝ながらティッシュばらまいたんじゃん」

「はぁ!?そんなことするはずないでしょーが!!」

「あたし知らな~い」



ギャクとかウケ狙いとかじゃなく、真面目にイジメられてます。



こんな島、早く出てってやるんだから。



あたしは親の顔も知らなければ身寄りもいない。



友達になってくれるヤツもいないし、彼氏もいない。



誰かに頼りたいとかって気持ちは封印した。



あたしはひとりでやっていけるもん。



「水原~、あんたまたティッシュばらまいたんだって?」

「知るか」



自分の身は自分で守るしかないの。



この荒れ放題の学校で生き残るためには立ち向かわなきゃ…。



こんなイジメは珍しくない。



他にもやられてる子はたくさんいる。



この島、なにもないからヒマなんでしょう。



それにあたしは別にイジメられてる気がしない。



施設で一緒に育った友達はみんな島を出てった。



養女にもらわれたり働くために出てったり…。



でもあたし、まだ15歳。



この島にはバイトするような場所は市場くらいで他にはない。



ネットで金稼ぎ?



そう思ったけどあたしには知識がない…。



この島にいる限り、一人暮らし出来るような大金は舞い込んではこないんです。



学校が終わったら昔から好きな場所に向かう。



島に船が着くこの場所…。



いろんな人間が行き交うのはこの島から出て買い物に行くためで…。



あたしも早くこの船に乗って島から出たいと日々思う。



そして今日も自販機の前に座ってボーッと海を眺めてた。



しばらくすると、かいだことのない爽やかな匂いがフワッとあたしの鼻をくすぐった…。



「120円持ってる?」

「わっ!!」



金髪に緑の目…。



どっかで見たことがあるような日本人離れした顔立ちの男の子が横にいた…。



「120円、ある?」

「あるけど…」

「貸せ!!頼むっ!!」



島を出て都会に行った友達が言ってた。



『金を貸せ』=『返って来ないもんと思え』って…。



「い、イヤ…」

「喉かわいた!!死ぬっ!!暑い~!!」



駄々っ子のように足を投げ出しバタバタし始めたこの人…。



子供かっ!!



「120円もないの?あんたビンボーだね」

「あんたじゃなくて司。俺、司。君は?」

「名乗る程の者では…」

「別に名前くらい減るもんじゃねぇだろ~…」

「芯…」

「芯か!!120円貸して?」

「イヤだってば…」



隣に知らない男の子がいてあたしの名前を呼んだ…。



なんかこういうの初めてでドキドキする…。



慣れてないって言うか…。



「なぁなぁ、俺昨日この島に来たの。何もねぇのな、この島」

「そりゃあないよ。高校があるから成り立ってるような島だもん…」

「でも芯カワイイからちょっとラッキー」



カワイイ!?



あたしが!?



まさかこれって…。



運命の出会いだったりしてっ!!



「120円貸す…」

「マジで!?助かる!!」



ドキドキしながら渡した120円…。



ヤバイ、ちょっと手が触れた…。



そのままコーヒーを買った司はまたあたしの隣に座ってそれを飲み始めた。



「彼氏いんの?」

「いない…」

「俺と付き合わない?」

「付き合うっ!!」

「マジで!?」

「マジで!!これって絶対運命の出会いだよ!!」

「…………」

「よろしく司!!あたし百合女の1年だから!!」

「俺柚校の1年……」

「デートしよう!!」

「へっ!?」

「島、案内してあげる!!」

「ちょっ…待っ…」



絶対これは運命の出会いです!!



ヤバイ。



ドキドキし過ぎておかしくなりそう!!



「芯…?」

「なに!?」

「なんか…拍子抜け中」

「なんで?」

「普通ナンパで運命感じないと思う…」

「な、ナンパ…?」

「気づかなかったのか!?」

「うん」

「あはっ!!お前超おもしろい!!」



顔を崩して笑う司にキュンってなった。



ナンパだったんだ…。



ナンパなんてされたことなかったんだもん…。



「ここが島唯一の商店だよ」

「コンビニねぇの!?」

「ない」

「うわ~…。お前アイス食う?」

「でもお金…」

「持ってるっつーの~。アレはナンパの口実」



1つのアイスを買った司はあたしにアイスを手渡した。



口実だったんだ…。



でもこれでチャラ?



棒に着いてるメロン味のアイスをかじると、少しだけ落ち着いた気がした。



「うまい?」

「ん…」

「俺にも」

「えっ!?」



あたしの手からアイスをかじった司にさらにドキドキ…。



こ、これって…か、間接…きききき、キス?



「うめぇ」



た、食べられない…。



司がかじったとこが…やけに気になってムリ!!



「溶けるの待ってんの?」

「えっ!?イヤ、あの…」

「あはっ!!まさか男に慣れてない感じ!?」

「うん…」

「ん~、超カワイイ」



もうイヤ!!



カワイイとか言わないで…。



顔が熱いよぉ~…。



「司が食べて?」

「お前が食えよ」

「だ、だってぇ~…」



あたしってこんなに女の子だったの!?



なんか自分が自分じゃなくて気持ち悪い…。



「あ~んして?」

「へっ!?」

「あ~んって口開けんの」

「あ、あ~ん?」



司があたしの口にアイスを運ぶ…。



司の食べかけ…た、食べちゃった…。



「溶けて来たじゃん…」

「ご、ごめん…」

「俺食っちゃうよ?」

「うん…」



残りのアイスを食べた司をただ見てた。



なにこれ、司が超キラッキラしてる…。