辿り着いた場所は、タクさんのアドバイス通りレンタルビデオ店
中に入ると温かくて、冷たくなった頬がじーんと空気の温度に馴染もうとする
ここに何があるんだろ
あたしが進むための何か
はっきりするための何かがここにあるんだろうか
タクさんが言ったからには、本当に頭の中のモヤが晴れる気がする
たしか、オススメコーナーを見ろって
足を進めると、何やら華やかな場所があって、ここなんだとわかった
色とりどりのポップで商品を説明してある
見上げると、"スタッフオススメコーナー"とデカデカと書いてある
「あれ……?」
手にとってDVDの裏の作品説明に目を通してみて気づいた
偶然かもしれないけど、ここまでの偶然って偶然なの?
こんなに偶然が重なれば必然な気がする
「もしかして…」
説明には、手に取る映画は観たことないはずなのに、見知ったものが多い
見覚えというよりは、聞き覚えがあるものばかり
どこで聞いたのかははっきりと分かっていた
「アラタ…」
アラタが今まで話してくれた彼女たちの話と、内容がそっくりだった
映画みたいな出会い方だ、と
アラタはドラマチックな人生を生きているのだ、と
別世界の人なのだと思っていた
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