「あんたがアラタ?」
ずもももも
まさにそんな効果音がお似合いの彼女は、どんどん近づいてくる
全く知らない人の怒りを買うようなこと、してしまったんだろうか…
とにかく頷くと、子鬼は美波さんをぎろりと睨む
「真緒んちの前で、彼女と仲良く待ち伏せってわけ?どんな神経してんのよ」
顔は真っ赤で前髪を丁髷にした赤鬼は、何故か目に涙をいっぱいためて睨みつける
「えっと…」
「殴らせろ!んで二度と顔出すな!!」
小柄なのに、怒りのせいか大きく見える彼女は、胸の前で拳を握ると立ち上がるように、くいっと顎を上げた
「聞いてもいいですか…」
「あ?」
言葉が重なり、彼女の眉間のシワは一層深く刻まれる
「あははっ!」
にらみ合いの続く中、空気を読まずに高らかな笑い声をあげるのは美波さん
彼女も子鬼さんと同じタイプの変わった人だから
ひとしきり笑いきると、涙を拭きながら
「あたし、あーちゃんの彼女じゃないよ?」
とやっと真実を言ってくれた
その言葉に、子鬼さんの拳は下におりる
「……彼女じゃないの?」
首を横に振ると、子鬼さんは舌打ちをして俺を睨みつけた
「早く言えっ!!」
……言わせてくれなかったのに
不満を込めた目だったのか、頭を殴られた
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