途中まで歩いて、美波さんはぴたりと立ち止まった
振り返った顔はムスッとしている
「で、どこ行けばいいのよ」
妙に可愛く見えて、思わず笑ってしまった
その後しっかり攻撃を受けたけど…
美波さんより少し先を歩くと、着いた場所は真緒んちの前
いつも欠かさず会ってるから癖がついた
美波さんとの会話は、彼氏のタクさんのことか颯のことが多い
共通の話題だからかな
途中、家の表札の名前に気づいて、美波さんは眉をしかめた
「これ、あーちゃんちじゃないよね」
俺の境遇を知らない美波さんは、ただ颯と一緒に住んでるってことしか知らない
俺は頷くと、
「真緒んち」
その答えに、美波さん一歩後ずさる
青ざめた顔は距離を感じる
「……ストーカー?」
恐る恐る口にされた言葉は、理解するのに時間がかかった
言われてみればそうなのかも?
帰り道やら、家の前やらで待ってるんだし、彼氏ってわけでもない
真緒が嫌な顔せず、喜んでくれるから気づかなかったのかもしれない
1人の世界に浸っていた視界に、ひらひらと美波さんの手が左右に揺れる
「あーちゃん、冗談だよ。そんな真剣にとられたら困る」
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