「あーちゃんっ」



妙に明るく可愛らしい声



とても知ってる人に似てるけど、不吉というか、嫌な予感がビシビシする



振り返ったら負けだと思う



気にせずに学校を後にしようと校門を過ぎる



「あーちゃんってばっ!!」



そう大きな声を出したと思ったら、鼻に激痛が走った



「い゙っ!?」



「あたしを無視するなんて、いい度胸してるじゃないっ」



肩下までのストレートな髪を揺らしながら、大きな目がこちらを睨む



最悪に最強な人にあってしまったらしい



「みなびひゃん、いひゃいです」



鼻を掴まれてるせいで上手く話せない



それでも彼女には伝わったのか、鼻の痛みは引いた



赤くなっただろう鼻をさすりながら、彼女の出方を待った



「あーちゃんに早く会いたくて、6限サボったのにひどいっ」



美波さんはつんつんしながらそっぽを向いた



「それは嬉しいですけど…」



嬉しいという言葉にわかりやすく機嫌を直すと、美波さんは



「行くわよ」



と俺の腕を掴んで歩き始めた



どこに行くんだろ



約束はしてなかったし、わざわざ会いに来た理由もわからない



美波さんなら用があれば゙来い゙と言うはずだから



前をズカズカ歩いていた美波さんは、くるりと振り返ると、今までで一番楽しそうに目を輝かせている



その目を見たとたん、背筋がぞくりとした


「昨日゙真緒゙ちゃん連れて行ったんでしょ?」



そう言ったときの表情は自棄に輝いていた










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