「待たせて悪い!」
静まり返った下駄箱で、読みかけの本をぱたんと閉じた
息をきらす、その人を見上げて首を振る
「コレあったから、あっという間だった」
手元にある本をひらりと上げて、鞄にしまい込む
芯
あたしの彼氏
芯は短めの日に焼けた黒髪をツンツンとたてている
アラタと同じくらいの身長で
サッカー部
芯はあたしの手を掴み立ち上がらせると、ゆっくりと歩き始めた
芯といると楽しい
芯の話は楽しくて、時間を忘れる
人を引き寄せるタイプで、いつも周りには人がいっぱい
「今日遠藤がさぁ、」
中でも一番仲良しの遠藤くんの話がピカイチ
あたしたちは笑いながら学校を後にした
「そいえばね、アラタから電話あった」
「えっ!?あの新が電話?」
やっぱし思うことは同じらしい
くすっと笑いを零すと、芯の頬が膨れた
「何で笑うんだよ…、で、新なんて?」
「よくわかんない」
「ぶっ。新らしい」
ほんと、芯とは考えがシンクロする
あたしもアラタから電話あった後同じこと思ったもん
そこからアラタとの昔話に花が咲いた
「あいつさ、最初は真緒以外に心開かなかったもんな」
「そだっけ?」
「そだって!俺でも口きいてもらえるまで1ヶ月はかかったから忘れねぇ」
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