「…アポロン?」


さて、どうやって運ぼう?
そう思考を巡らせていると、後ろから愛しい声が聞こえてきた。


「アルテミス!!良いところに来た!ねぇ、コレ運ぶの手伝ってよ。」


アポロンは勢いよく振り向くと、そこにはアルテミスと呼ばれた女性が立っていた。見事な亜麻色の程よくカールした髪が目を引く。



アルテミスは怪訝そうにアポロンに近づく。


「…コレ?何その塊は。」


アルテミスはアポロンの隣まで来て覗き込む。


「コレ…って人間じゃない!?どうしたの?」


「何って、ゼウスさ。あの人が連れてきたの。」


「ゼウス様が…?……じゃあ、何も言えないけど……。…この子、中に運ぶの?」


「うん。流石に此処に放置は不味いかなと思ってさ。」


「当たり前よ。…それじゃ、中に運ぶわ。」

よっとと言ったと思ったら、アルテミスは、と少年の膝裏に片手を引っ掛けて、軽々と持ち上げてしまった。そしてスタスタと玄関へ向かっていく。


「うわぁ…。姉さん、男前。」


「…るっさい。」