…たぶん、ですけどね

僕は顔をあげると、愛子さんにキスをした

愛子さんの首に手を回すと、愛子さんとの距離を縮めた

唇を割って、舌を入れる

愛子さんの体温が僕に、伝わってくる

安心する

さっきまでの不安が一気に、消えて安堵感が僕の心を支配していった

「ちょ…教室でそんなことをしたら…」

「そうですね
誰かに見られたら、いけませんね
でも、キスしたいからしました」

「が、我慢しなさいよ!」

「できなくて…
愛子さんを見るとつい…可愛いから」

「外から丸見えなんだからね!
気をつけなさいよ
有栖川は華道界のプリンスなんだよ?」

「じゃあ、愛子さんはプリンセスですねえ」

僕がほほ笑むと、愛子さんの片眉がぐいっと持ちあがった

「プリンセスなわけないでしょ!
なに、馬鹿なことを言ってるのよ
…てか、竜ちゃんとの旅行について、聞いてるの!」

「ああ、そうでしたね」

僕は苦笑すると、耳の後ろを掻いた