あれ?

愛子さん?

愛子さんは僕に背を向けて、飯島さんのほうを見ている

何か考え事でもしているのか、腕を組んで頭を下に傾けていた

僕の声に気付いてないのでしょうか?

それとももうすでに椎名さんと一バトルを終えた後とか?

なんで僕に背を向けているのでしょうか?

「あ、えっと椎名さん、今日はもうお帰りください」

僕の言葉に、椎名さんが怖い顔をして僕の腕を引っ張った

い…痛いんですけど

「ちょっと、椎名じゃなくて、乙葉だ」

小声で、椎名さんが怒る

「ですが…ここに部外者はいませんし」

「いるだろ」

椎名さんは、愛子さんを指さした

「ああ、愛子さんですか?
僕の恋人ですから、部外者じゃないですよ
椎名さんと見合いしたことは話してありますから」

椎名さんが不満そうに頬を膨らませた

「なあんだ
嫉妬してもらいたいとか思わないの?」

椎名さんって寂しがり屋なんですねえ

きっと相手の愛情を知りたくて、知りたくて仕方がないんでしょう

確かに

元さんは素直に愛情表現をしなさそうですしね