「た…高波さん」

私はひきつった笑顔で、高波さんを見つめた

高波さんは、私の横で足を止めると、全身を舐めるように見た

「この前の授業でも思ったけど…愛子ちゃんって本当に貧乏?」

「えっ?
あ…っと」

もう…動揺しちゃって…勇人さんと練った計画が音を立てて崩れていくよ

えっと…こんなときは…

「ああ、実はお金はあるんです
でも…有栖川先生に名前を覚えてもらいたくて…貧乏で通うお金がないって話してしておけば
通ったときに…お金がないのに通ってくれたんだぁ…って気にしてもらえると思ったから」

ちょっと恥ずかしげに…言えたかな?

うつむき加減で…言ってみたけど

成功した?

「そうだったんだぁ
どおりで…持ってた鞄とか靴とか見たけど、貧乏そうには見えなかったから」

「あはは、すみません」

「電話、結構期待して待ってたんだけどなあ」

「あ、すみません
電話しようにも…仕事の話っぽかったので、実はお金には困ってませんって電話するのも悪い気がしまして…」

どうにか…うまくいっているちっく?

ちょー、緊張するよ

人をだますって結構大変なんだね~