「まあ…わかってない人があそこに約一名いるみたいね」

事務所の裏から、入口を眺める

椎名さんが元さんにぎゅうっと抱きしめられている

なんだ

ちゃんと愛し合ってるじゃないですか

一人相撲みたいなことを言ってたのに

ちゃんと……

恋愛になってるじゃないですか

「何、ニヤニヤして見てるのよ!」

飯島さんに軽く頭を叩かれた

「いてっ」

僕は叩かれた頭を手で撫でた

「酷いなあ…
二人が初々しくてつい顔がゆるんじゃっただけですよ」

「何それ…おやじみたい」

「いいじゃないですか
椎名さんの気持ちも少しは理解してるんです
振り向いてもらえない孤独とか、苦しさとか…僕にはわかるから」

飯島さんが「あら」というと、微笑んだ