「愛子さん、大好きですよ」

ふっと、口元を緩めた有栖川が、愛おしそうに私を見つめて言ってきた

「あ…うん、ありがと」

「で?」

「は?」

「愛子さんは? 言ってくれないんですか?」

「あう…好きだよ、有栖川」

思いきり棒読みになる私に、有栖川が嬉しそうに笑ってくれる

「できれば、下の名がいいんですけどねえ」

「無理」

「下の名がいいんですけどねえ」

「『聖一郎、好きだよ』…これでいい?」

まるでロボットように言う私の口調に、有栖川が肩を揺らして笑った

「ま、今はいいですけど」

有栖川が、私の額にキスをした

「僕たち、幸せになりましょうね」

有栖川が、目を細めて微笑んだ

当たり前でしょ

幸せになりたくて、有栖川と結婚をしたんだから!

いつか…必ず

有栖川のお母さんにも、認めてもらいたいよ


いつか……ね



『僕様王子に全てを奪われてⅡ』

        終わり