「嬉しいです」

「感謝をするなら、有栖川さんにしろ
俺はただ学校側に通えるようにしろと言っただけで、手続きや入学金を払ったのは有栖川さんなんだから」

有栖川が…手続きをしてくれたんだ

私が通いたいって言っていたから…

「ありがとうございます」

私は勇人さんに深々とお辞儀をした

「だから俺にじゃなくて…」

「でも、勇人さんのおかげでもありますから」

「まあ…な」

勇人さんは恥ずかしそうに顔を背けた

少しばかり顔が赤いような気がする

「文句を言われたり、嫌味を言われるなら平然としてられるのに…
感謝されたりするのには、弱い男だねえ」

貴美恵さんが、けらけらと笑っている

「うるせえな」

勇人さんが、貴美恵さんを睨んだ

「そうそう、そういうノリが勇人だよねえ」

貴美恵さんは勇人さんの肩をぽんぽんと叩いた