「竜ちゃんって…本当に弱くなったねえ」

私の言葉に、竜ちゃんの体がぴくっと反応する

「よわ…って
弱くなったわけじゃないよっ!
ここにいる人たちが強すぎるんだよ
それに…能ある鷹は爪隠すって言うでしょ?」

「能なんかねえくせに、偉ぶってんじゃねえよ」

床に倒れ込んでいる竜ちゃんの背中を踏みつけて、勇人さんがソファに座った

え?

勇人さんって、凄い人だ

藤城家の後継者を踏みつけて歩くなんて…

「全く、相変わらずねえ
藤城弟が可哀想じゃない」

貴美恵さんがそう言いながらも、竜ちゃんの背中を踏んで乗り越えていった

「ぐえっ」

竜ちゃんが苦しそうな声をあげる

この二人って、似た者同士?

「貴美恵も同じことしてんじゃん」

「私はいいのよ
藤城兄に恨みがあるから、許されるの」

「なんだそりゃ?」

貴美恵さんは、勇人さんの隣に座ると、足先で竜ちゃんの腕を蹴った

「それに、藤城弟はこれくらいで泣きごとを言うような男じゃないし
いじめ甲斐があるってもんよ」

「僕、そろそろイジられキャラから卒業したいんですけど」

竜ちゃんが、起きあがりながら、ぼそっと呟いた

「無理だな」

「無理ね」

勇人さんと、貴美恵さんが同時に声に出す