私と莉子さんが目を合わせて、微笑みあう

そして『ぷっ』と笑いが漏れると、くすくすと二人で笑い合った

「弱いよねえ」

莉子さんが笑いながら、私に言ってきた

「うん、竜ちゃんって剣道家に見えない」

「そうそう…なのに、人一倍、負けず嫌いで、みんなに迷惑をかけるのよ」

莉子さんが頷きながら、言葉を出す

竜ちゃんが起き上がると、首の後ろをガシガシと掻き毟った

「なんか…僕、馬鹿にされているような気がするんだけど」

「気がするんじゃなくて、女に馬鹿にされてんだよ
だから、竜之介じゃなくて、馬鹿之介なんだろ」

勇人さんが、おかしそうに口を緩めている

勇人さんは長い足で、竜ちゃんの膝に蹴りを入れた

「ちぇ、勇人さんはいいよなあ…
馬鹿にされないんだから」

「当たり前だ
馬鹿にされるような生き方はしてねえんだよ」

「悪いことばぁっかしてんのに?」

「俺みたいな善人を捕まえておいて、悪いことばっかだと?
どの口が、俺の悪口を言ってるんだ?
莉子をたぶらかした男として、お前の兄貴に逮捕してもらうぞ?」

「失礼な!
愛子を犯罪に巻き込んでおいて、何が善人だよ」

勇人さんがふっと笑うと、視線が私に向いた

え?

ナニ?