「さあ、こんな俺様バカは放っておいて、女同士で盛り上がりましょう!」

貴美恵さんがにっこり笑顔で、私を見てきた

「は…はい」

私は小さな声で、返事をした

びっくりして、声が思うようにだせなかった

「あの…私が呼ばれた用件って?」

「ああ? お前の誕生日祝いと、入籍祝いをしたんだと…こいつが」

勇人さんが、面倒くさそうに貴美恵さんを親指でさしながら教えてくれる

「そう、パーティよ
勇人の家に、シェフを呼んであるの
今日は思いきり美味しい料理を食しましょ!」

貴美恵さんが、私の腕をぐいぐいと引っ張ってきた

私は慌てて、靴を脱ぐと、貴美恵さんに引っ張られるがまま、居間に連れて行かれた

「あ…竜ちゃん」

「おめでと」

居間には、飾り付けをしている竜ちゃんが手を止めて口を開いてくれる

隣には莉子さんが、申し訳なさそうに立っていた

「あ…りがと」

私は莉子さんから目をそらした

なんか…合わせづらいよ

私は莉子さんにとって、きっと嫌な女だろうから

「気にしてんじゃねえよ
昔の自分は、今のお前と違うだろ?
お前が気にしてたら、莉子も気にするだろ」

勇人さんが、大きな手を私の頭に上にぼんっと乗せた

「でも…」

「お前はまだ藤城馬鹿之介が好きなのか?」

「ううん」

「なら、莉子といがみ合う理由はねえだろ」

「うん」