竜ちゃんとのときは、それでいいって思ってた

愛なんていらないし、ただ自由に生活できる空間が欲しかった

お金を気にせず、買物ができる

好きなものを我慢しなくていい、生活にただただ憧れていた

だから、金のため…家のため

そう囁かれていても別に気にもとめなかった

なのに

今はどうだろう

金のため…とか

己の保身のため…とか言われているのかもしれないと思うと、心の奥が苦しくなる

好きで有栖川を選んだのに

そう理解してもらえないのが、とても辛い

勇人さんの家のドアを開けると、パンパンっという渇いた音がした

私はびっくりして、瞼を閉じる

何かが頬を撫でていくのが、わかった

「おめでとう!」

一際明るい女性の声がした

「え?」

私は、目を開けると、女性の手にあるクラッカーをじっと見つめた

「気にするな
パーティ好きの女がただ騒いでいるだけだ」

ええ?

女性の後ろで、呆れた顔で腕を組んでいる勇人さんが説明をしてくれた