「有栖川聖一郎! 遅いぞっ」

実家に帰り、椎名さんが待っている部屋に行くと顔面に座布団が飛んできた

座布団にぬくもりがあるところを見ると…たぶん、椎名さんが使っていたものだろう

「すみません
ちょっと立て込んでました」

「女に2時間も待たせるとはっ!
もうご飯を食べてしまったぞ」

「え?」

僕はテーブルに並べられている食事の皿を見つめた

「食べちゃまずかったか?」

「いえ…本当に食べました?」

「ああ、しっかりと食った
…ていうか、食べすぎてちょっと気持ち悪いくらいだ」

「そう…ですか」

僕の目には、料理が全く手つかずのように見えるんですけど

愛子さんの食べる量に見慣れてしまったせいでしょうか?

「椎名さんは、小食なんですね」

僕は座布団を、椎名さんの隣にいた須山さんに渡すと、僕の席だと思われる座布団の上に尻を落とした

「乙葉は、好き嫌いが多い」

須山さんがぼそっと説明してくれる

すごく不機嫌なのは、きっと僕と椎名さんが会っているからでしょうか?