「今回はこれで」

小切手を満足そうに手に取ると、高波さんが教室を出て行った

僕はソファに座ると鞄の中に入っているレコーダーを止めた

携帯を出すと、すぐに小山内君に連絡をした

『動きました?』

小山内君の第一声が、嬉しそうな声だった

「ええ、つい先ほど偽の小切手を持って帰りましたよ」

僕は額にじわりと出てきた汗をタオルで拭いた

「2千万と書いて、笑顔で出て行きました」

『そりゃあ、楽しみだ』

「これからレコーダーを返しに行きますね」

『ああ、ちょうど、今、警察の人がここにいるんだ
ついでに被害届も出していくといい』

なんて、準備万端な人なんでしょうね

絶対に敵にまわしたくない人だ

「はい、では、遠慮なく」

僕は携帯を鞄の中に放り込むと立ち上がった