「良かった
先生なら、必ず期待に応えてくれると思ってましたよ」

別に

応えたくて応えたわけじゃないですけどね

僕はぷいっと横を向いた

「ちょっと待ってくださいね
小切手を用意しますから」

僕は立ち上がると、事務所の奥に入った

金庫の中から、小切手を一枚取り出すとボールペンを持って高波さんの場所に戻った

「お好きな金額をどうぞ
今ここで、お書きください」

高波さんはにっこりと嬉しそうな顔で小切手を手に取ると、お金を書き込んだ

『2千万』

小切手の中に書かれた数字を見た

また…大金を書きこむ人だ

怖い人ですね

僕がそんなに大金を所有しているとでも思ってるんですか?

お金の管理は僕じゃないんですよ

母ですから

僕は母から、給料を持っているようなものです

雇われ講師…というものなんですかね

後継しても実権は、母ですから