「ずいぶんと軽いお口ですね」

僕はニヤリと笑った…と、いけない、いけない

つい、黒い僕が顔を出したくなってしまう

こういう男を見ると、口で勝ちたくなっちゃうんですよね

「これ次第と言われても…」

「いいんですよ
払えないなら、ネットで書きこんでもいいし
教室中の女性に話したっていい
困るのは、先生と愛子さんであって、俺じゃないし」

「そう…ですよね
教室に通う生徒さんがいなくなっては困ります」

「生徒さん確保が第一優先ですか?」

高波さんが、流し眼で僕を見てきた

愛子さんを大切に思ってない…とか言いたいんでしょ?

もちろん愛子さんが一番ですけど

今の状況は、違うでしょ

高波さんの中では、僕は金を引き出す鴨にならないとですからね

「他に何があるんですか?」

高波さんがふっと顔を崩した

「愛子ちゃんの受ける精神ダメージを気にしないんですか?
付き合ってるんでしょ?
見合い相手がいるのに…こんなことをするなんて」

「愛子さんにも決められた男性がいます
僕とのことは遊びだと思いますよ」

「知っていて?」

「ええ、知ってます」

…て、藤城君と許婚だったのは昔のことですけど、ねっ

婚約者の相手役が藤城君だと思うだけで、腹立たしいです