「小山内君は、まるで罪を増やす達人みたいですね」

「俺がそうさせているわけじゃない
罪人が勝手に次のステップに進んでくれるだけだ
俺はそういった感覚の麻痺した人間が大嫌いなんでね
悪いことを悪いと思わなくなった人間には、容赦したくないんだ」

小山内君がにやりと口を緩めるが、目はどこか寂しそうだった

きっと過去に辛い思いをしてきたのでしょう

「愛子さんはまた怖い思いをするのでしょうか?」

「今日ほどの恐怖はないと思う
…が、予想外な展開になった場合、俺にもわからない
必ず近くに人は配置しておく
危険だと思った時点で、愛子を必ず守る」

「お願いします」

「それと高波との会話はすべて、ICレコーダーに録音しておいてください
証拠になりますから」

小山内君が、レコーダーを僕に差し出した

僕は受け取ると、手の中に収めた

「わかりました
高波さんとのやり取りを、録音し、小山内君に渡せばいいんですね?」

「ええ」

小山内君が頷いた

僕と高波さんとのやり取りがうまくいけば、愛子さんと接触される前にきっと調査を打ち切りにできるはず

僕が成功させる

もう愛子さんに怖い思いをさせたくありません