「愛子さん、僕も小山内君と二人きりで話をしたいです」

僕は振り返って愛子さんに告げる

愛子さんは不満そうに口を曲げて、立ち上がると渋々部屋を出て行った

愛子さんの部屋に、三人が入るのを見届けると僕は足を崩して小山内君の顔を見た

「今日の昼間、何があったのでしょう?」

小山内君が、ふっと笑みを見せると前髪を掻きあげた

「簡単に言えば、愛子のやろうとしたことがバレた
んで、逆に脅されそうになったから、近くにいた藤城が止めた」

バレた?

小山内君が愛子さんを使っているのを…ってことですか?

「完全にこちらの手の内を知られたわけじゃない
有栖川さんが、愛子を使って、高波のしているのを調べようとしているくらいにしか思っていない」

そうですか…

それでも今日は、愛子さんは怖い思いをしたのですね

脅されそうになったなんて、普通に生活をしていたら体験なんてしませんから

「藤城のとっさの機転…ていうのがちょっと疑問だが
あいつが、愛子は婚約者だと高波の前で言い切った
そして愛子は、藤城には、有栖川との関係を言っていないような素振りを見せた」

え?

たとえ咄嗟の出来事とはいえ、愛子さんと藤城君が婚約者同士なんて

あまり良い気分はしませんねえ