高波さんの手の中にある私の手は、恐怖を訴えている

手だけじゃない

腕も足も、震えている

計画が…失敗した

でも勇人さんの名前は知られてないみたい

それだけでも、良かったって思う

これからどうしたら…いいの?

怖い

逃げたい…けど、逃げられない

手を掴まれている以上、この場から逃げるなんてできない

「あ、愛子…奇遇だね
連絡しようと思ってたんだ」

え?

顔をあげると竜ちゃんが笑顔で立っていた

竜ちゃん…助けて、くれるの?

「ほら、旅行の答え、聞いてないでしょ?
両親がうるさくてさ
そろそろ答を聞こうと思ってたんだよね」

竜ちゃんが私の隣に腰を落とした

竜ちゃんは長い足を自慢するかのように、外に出して組むと、私の手を掴んでいる高波さんの手を見た

竜ちゃんの視線は少しずつ上にいき、高波さんと目を合わせた

「だれ?」

竜ちゃんは怖い顔をして、高波さんを睨む