「こんにちは」

私は高波さんに声をかけた

高波さんは笑顔で私を見てくれる

嘘くさい笑顔…とついつい思ってしまうのは、彼が詐欺師だと私は知っているからだろうか?

知らなかったら、この笑顔に騙されていたのだろうか?

いや…騙されたいないと思う

相手にしていないと思う

だって…有栖川の笑顔のほうがいいもん

有栖川が笑ってくれるほうが嬉しいもの

この人の笑顔に、ついていくなんてしないと思う

「愛子ちゃん、会えてうれしいよ」

「私こそ
嬉しくて眠れなかったんですよ」

嬉しくはなかったけど…

うまくできるかって緊張で眠れなかったのは確か…

だって失敗したら

勇人さんに迷惑をかけてしまうから

それは申し訳ないよ

それに有栖川の教室にも悪い気がするから