なんか…ほっとする

勇人さんの声を聞いて、張りつめていた緊張がすっと解けた

どうしてだろう

高波さんのほうが優しくて甘い響きなのに

すごく嫌な感じがして、ピリピリする

勇人さんのほうが全然、冷たくぶっきらぼうなのに

すごく安心できるのは、なぜなのかな?

勇人さんの口調の裏には、変な感情がないから?

人を騙そうとする気持ちがないから?

「明日、会うことになった」

『あ? …ああ、高波か
ちょっと待ってろ』

電話の向こうと、女性と話しているのが聞こえた

え?

もしかして電話しちゃ、まずかった?

『悪いな
ちょっと取り込んでた』

「あ…またあとで電話します
…てか、勇人さんが落ちついてからで…」

『ああ、いいんだ
桃香とヤッてただけだから』

え?

もしかして最中だったんですかっ?

そういうときは電話に出なくていいのにぃ

なんかこっちは申し訳ないじゃない

「…ってそういうことをはっきり言わないでくださいよ!
こっちドキドキしちゃうじゃないの」

『ドキドキしたのか?
俺たちのを想像したのか?』

「くっだらなあい」

勇人さんの口癖を真似てみる