「ありがとう
一緒に怒ってもらって、嬉しいよ
でも元はそういうヤツだ
さて、と
私は帰る」

「え? 泊っていんだよ?
それに明日、迎えに来るって…言ってたし」

「いや、いいんだ
帰らないと、元が父に怒られる
予定外の行動をしたら、元の責任になるからな」

乙葉さんが寂しそうに笑った

「今、父は海外にいる
いつも夜10時になると電話がかかってくる
私が家にいるかどうか
確認の、な
今から帰れば、10時に間に合う
ありがとう、愛子
新しい男探しには、協力してくれるのだろ?
楽しみにしているよ」

乙葉さんがベッドから出ると、私の肩に手を置いた

私たちが廊下に出ると、車のキーを持っている有栖川が立っていた

「送っていきますよ」

「いや…いい
一人で帰れる」

「そうはいきませんよ
そんな肌の露出した服を着て、夜の街を歩いた日には…襲われます
元さんの子を妊娠しているかもしれないんですから
身体を大事にしてください」

「そう簡単に妊娠するかよ」

「しますよ」

有栖川がにっこりと笑った