そんな仲良しな私たちにも、複雑なことがある。


「玲奈なら・・・賢ちゃんが先帰るっていうから一緒に帰るって♪」
なんだか嫌な感じがしたので、話を明るくさせようとあまり関係ない話までする。
「ほらっ♪
賢ちゃん、モテるから呼び出し何度もくらってて精神的に疲れたみたいよ?
だから“早く帰るわ”ってさ」

『へ~。大変だなー・・・』
他人事のように呟く咲ちゃん。

「咲ちゃんも大変だったんじゃないの?」

『そんなことねぇけど・・・』

「嘘。登校のときは平たかったカバンがパンパンになってるじゃん・・・」
頬を膨らまして言えば、咲ちゃんが溜め息をつきながら答えてくれる。
『・・・教科書だよ』
咲ちゃんは教科書を学校に置いていくから。
教科書じゃないのはわかってるよ?
第一、教科書でそんなに鞄が変な形になるわけないじゃん・・・。

無理やり他の話題をしても、会話はあまり盛り上がらなくて結局話をもどした。

「賢ちゃんか玲奈のこと・・・探してたの?」
本当は聞きたくなかった質問。
でも、実際は気になってるし。
これ以上、他の話も出来そうにないから。

『ぁ~。
蜜柑には言ったほうがいいかな?
俺、玲奈に告るわ!』
・・・やっぱり。
この答えが予想できてたから、自分の告白の前に絶対に聞きたくなかった。
告白する勇気さえ、消えてしまうから・・・