拒まれた事に、ヒヤリとした。

「自分でつけられる。」


そうだ、薬指の指輪じゃない。

私には、彼女につけてあげる権利がないのだった。



相変わらずスローな動きで、彼女は左手の小指にピンキーリングをはめた。

そしてその左手を夜景にかざした。


その瞬間、何年ぶりに、彼女の涙を見た。