コイツが男だったら絶対殴ってただろう。殴るまで行かなくとも、かなり怒っていただろう。
いや、今でもすっごく怒ってるんだがな。うん。

「俺は器がとても大きいから今回は許してやる。だが、次は無いぞ?いいな」

「アンタなんかいつも遅刻じゃん」

「うっ…それは」

俺はそのまま何も言えなくなってしまった。情けない。
言え、何か言い返すんだ、と思ってみるが結局は言えないのが俺だ。
本当に情けない。
死んでしまいたい。

「そんなことより早くプールに行きましょう、暑くて溶けてしまいそうですよ」

「それもそうだな、よし行くか」

そう言って大介と里奈は先に歩いて行った。
俺と唯も少し遅れて歩き出した。

この時既に午後の二時。

一番暑い時間じゃないか…。



一章「友人のいる街」終