夏、人も虫も全て溶かしてしまうような太陽の殺人光線、クーラーの効いた部屋にいるってのに窓から入ってくる殺人光線せいで暑い。

「暑…」

立ち上がって部屋の窓を開けて、ベランダに出て空を見上げる。
俺の家はマンションの高い位置にある部屋なので下を見れば車やら人やらが小さく見える。

「はははっ見ろ、人がゴミのようだっ」

なんてバカみたいなことを言ってみる。我に返って、自分のバカさに泣けてくる。
ポケットからタバコを取り出して火をつける、大きく息を吸い込み空に向かって吐き出す。
青い空を煙が覆ってすぐに消えていく。

今は高校一年の夏休み、部活に入ってるわけでもないし、頭が良いってわけでもないから夏期講習なんかも
受けない。
すると、暇になってくるわけだから家でゴロゴロすることが多くなる。
タバコを覚えたのだってそのせいだ、親父のタバコをちょっと盗んで吸ったのが始まり、だからって
別に不良なわけではない。
確かに、学校でタバコがバレて退学にでもなれば不良になるかもしれないが、そんな心配は必要ない。
バレない為のケアはしっかりとやっているからだ。
まぁ、こうしてタバコを吸っていると色んなことを考える。