「貸してみな」





彼はアタシからペットボトルを奪うと軽々と開けて返した。





「ありがと………」





アタシはなぜかまた恥ずかしくなって小声で言った。





時々思い出したように聞こえる歓声にさえ消えてしまいそうだった。





「あのさ………」





誰もいない屋上。





「ん?」





フェンスにもたれたアタシ達の距離は、





「この前は、ごめん」





手を伸ばせば届くほどなのに、





「この前?」





まだまだ、遠い。