「ねえ、ごらんになって。あなたの花が、もう明日にでも開きそうに膨らんでいるわ」

つっ、と立ち止まって、一の姫がその細い指先で指し示す先には、小さく白い花がその蕾をはちきれそうなまでに膨らんで、春の風に震えておりました。

「ふふ」

鈴をふるような姫の笑い声に、一の君は、優しく微笑まれます。