「ええ。では、よろこんで……」

そのお手の中の薄様を、そっと袂に落とし込みながら、一の君は、微笑んでお答えになりました。

一の姫の涼やかな目元が、ほころびます。

「まあ、一の君。嬉しいですわ。どうぞ、こちらへいらっしゃい」

さ、しゃら、と、一の姫の着物の裾が床にこすれて、微かな音をたてました。