「私も、ですか」

金銀の蒔絵のはいった貝道具の八角箱を手にした一の姫に、一の君はおたずねになりました。

一の姫は、答えて、おっしゃいます。

「一の君は、貝合わせの名人ですもの。いらしてくれれば、私も、張り合いがあるというものですわ。ですから、ね、ご一緒に。よろしいでしょう?」