カズキの部屋には何度も来たことあるのにな…

「コーヒーでいい?」

「あ、うっうん…」

はい、どうぞと渡された白いマグカップを『ありがとう』とぎこちなく受けとる

仄かに白く立ち上る湯気とともに優しい香りが鼻をくすぐり、気持ちは徐々に落ち着いてきたのに、胸の辺りがムズムズしてしょうがない

相変わらず殺風景な部屋の真ん中に置かれた小さなテーブルを挟んでカズキが向かいに座る

お互い無言のままコーヒーを飲む

目線に困って口をつけたマグカップの中のコーヒーを見つめていると、カズキが口を開いた

「…もう大丈夫?」

「うん、ありがとうございました」

改めてお礼をいいながら頭を下げ、笑顔を見せると、カズキも『よかった』と笑顔を見せてくれた。